!!」
「ラビ!!」

「「happy Valentine Day!」」

私の手にはピンクのラッピングに包まれたバレンタインチョコ。
ラビの手には薔薇の花束。

「今日はバレンタインよ?」
「知ってるさ。だからにこれ!」

そういってラビは満面の笑みで私に薔薇の花束をずいっと差し出した。
そこで私の手にあるチョコに気づく。

「これは?」
「バレンタインチョコ。私の国ではバレンタインデーに女の子が好きな男の子にチョコを渡すのよ」
「へー、知らなかった。俺は男が女にプレゼントを贈る日だと思ってたさ」

もらっていいの?と聞かれたからこくりと頷いた。
軽くなった手でラビから花束を受け取る。男の人から花、しかも薔薇をもらうなんて初めての経験だから少しくすぐったい。

「でも、何かアレさ」
「何?」
「文化が違うといいことなかったりするけど、バレンタインは最高だなって思って」

言葉が違うから最初は会話も出来なかった。
コミュニケーション方法が違うからよく喧嘩になった。
味覚が違うからご飯を作るときに2倍苦労した。

「二人とも嬉しいイベントなんて珍しいものね」
「だろ?」

嬉しそうに照れ笑いをするラビを見たら嬉しくなってきちゃった。
慣れないお菓子作りをしてよかった。

「ん?」
「好き」

滅多に言わない言葉だけど今日だけは特別。
薔薇の花束もバレンタインチョコレートもまとめてラビに抱きしめられたら幸せの香りがした。



薔薇の花束と甘い幸せ

2008.02.24