「悪ぃ・・・今日任務が入っちまった。」

 二人の想いが結ばれた記念日に、いきなり言った君の台詞。
 ねぇ私のこの思いはどうしたらいいの?



 「バカ・・・あれほど楽しみにしてたのに・・」

 外は雨。部屋から見てもうっとうしそうなこの雨の中。
 私の愛しの人は任務に出かけてしまっている。
 私と彼の神田はエクソシストであり、恋仲でもある。
 よく任務を組まされていたせいか、お互いを意識しだすのもおかしくなくて、
 いつの間にか両想い。私からの告白ですべての事実を知ったんだけどね。
 今日はその記念日。両想いになってから1年が経った。
 前から約束していて、任務もいれずに待っていたのに。

 「任務バカなんだよ・・神田は。」

 神田が帰ってきたとき、一番に会えるように神田の部屋に来ている
 特に何もない部屋に、いるのはたった一人。
 独り言は虚しく響き、誰かの耳にはいることなく消えていった。


 そう言えば、前にもこんなことがあった。


 あれは私の誕生日だった。あの日、神田から約束してきたくせに、
 やっぱり任務が入って、今日みたいに一人で待ってた。
 あの日は自分の部屋にいて、ただ泣いて待ってた。
 泣きつかれて寝ちゃって、起きた時には外は真っ暗で。
 立ち上がろうとしたときに、団服のコートが肩にかかっているのに気がついて。
 そのコートは見慣れた模様だった。
 それもそのはず、神田のだったから。
 傍には置手紙が置いてあって、


 起きたなら部屋に戻しとけ。
 あと、泣かせちまって悪ぃ。

 と、ぶっきらぼうな字で書いてあった。
 
 

 「不器用なんだよね。優しいくせにさ。」

 「誰が不器用だ。」

 「神田?!」

 一人回想にふけっていて、また独り言を吐いた瞬間、まさかの返事が返って来た。
 それはずっと待っていた愛しい人。

 「任務は・・・?」

 「終わらせてきたに決まってんだろ。」

 団服に着いた血はまだ乾ききっていなく、急いで帰ってきたことを示していた。

 「待たせたな。」

 「・・っ・・バカ!!」

 神田の方に飛びつくと、優しく抱きしめてくれた。
 そしてキスを一つすると、ポケットから小さな箱を取り出して、耳元であることを言ってくれた。


 「俺と・・結婚してくれ。」



 今までバカみたいに待ってたけど、
 そんなときの不安も、心配も、


 雨の音に掻き消され


 

 (返事なんか決まってる。YESしかないよ。)