「リーバーさぁーん、コーヒー持ってきましたー」
「おーそこ置いといて」
「はーい」
巨大な書類の山から少し遠く、でもちゃんと班長の手が届く絶妙なポジションにカップを置いた。なんか私たちちょっと夫婦気分かも。さっきだってコーヒー欲しいって言われる前にいれようと立ちあがっちゃったし、コーヒーにはおさとうふたつって覚えちゃってるし、こうやって置く場所までばっちり。班長狙いで科学班の部屋に通いはじめて三ヶ月。エクソシスと科学班班長って関係から名前を呼びあう仲に。いつか呼び捨てにできる日がくることを夢見て毎日通い妻します。ほんとははなしたいこといっぱいだけどお仕事の迷惑にならないように隣の空いてる椅子に座って待機。今は資料運びという仕事を仰せつかっているのです。あと寝ちゃったときに毛布をかけてあげる役も。リーバーさんの寝顔はびっくりするくらい幼くて可愛いから。

「はい?資料ですか?」

来たぜこの野郎ぉぉとばかりにこっそり意気込んで立ち上がるとリーバーさんは首を横にふった。資料運び以外の二つの仕事は今のとこ必要ないはず。何かわからなくて立ったままでいると座れ、と言われた。言われるがままに椅子に座ると計算していた手を止めて、私と向かい合う形になった。もしかしてもう来るな、とか迷惑だ、とか!?そんなことになったら科学室どころか教団にいられない。こんなところにいたらまいにちまいにちリーバーさんを探して目で追っちゃうんだ。そんで目があって冷たく避けられて傷つくまいにちになっちゃう。そんなの生き地獄よ!ああ、でも出て行ってもまいにちまいにちまいにちまいにちまいにちまいにち遠い教団にいるリーバーさんを想って過ごすんだわ。こいわずらいしてたら注意力散漫になっちゃってアクマかノアに後ろからずばっと一撃はいさようなら、よ。そうなるまえに私が死んでも生き返らせないでねって言っておかなくちゃ。アクマになったらみんなの敵になってみんなをころしちゃう。

「アクマはいやですリーバーさん!!」
「は?何言ってんだ?」
「あ・・・また自分の世界入ってました」
「だろうと思った」
仕方ない奴って笑って頭をくしゃくしゃって撫でてくれる。大きくてごつごつしてるおとこのひとのてをしたリーバーさんのてが世界で一番好き。

「このカップが買ってきたのか?」

リーバーさんが指したのは私がさっきコーヒーをいれて持ってきたウサギのマグカップ。リーバーさんが今までずっと使ってたのは欠けたりコーヒーの色がついちゃったりしてたから新しいのにすればいいのにって思ってた。これは私の勝手な予想だけどリーバーさんは忙しくて買いにいく暇がないんじゃないかと思って。欠けたカップで怪我したら大変って思って新しいのを買ってきたんだけど、やっぱり迷惑だったかな?

「あ、はい。勝手にカップ買えちゃってごめんなさい・・・」

怒られると思って下を向いてたらまたリーバーさんのてが頭の上に乗った。
「なんで謝るんだよ」
「勝手なことしちゃったから・・・。リーバーさんいやかなって・・・」
「そんなことねぇよ。ありがとう。大切に使う」

そーっと顔をあげてみたら徹夜明けで無精髭がいつもより伸びててよれよれの白衣で子どもみたいな顔で笑うリーバーさんがいた。それを見たらなんか私まで嬉しくなった。

「それにしてもお前、センス悪いな」
「センス悪くないですよ!このキャラクター最近すごい流行ってるんですからね!!」


意味などなく
(二人で笑ってコーヒーを飲んだ)


thanks BAMBINO!様