ティキはズルい。ティキってすっごくズルい。
何処がズルいかってまずあの顔。見てるだけでため息が出るくらい整っているでしょ。
次は目。あの目に見つめられただけで全身が痺れて目が離せなくなるくらいに魅了されちゃうの。
それから唇。形がすごく良くて、口元を歪めて哂うとイジワルっぽくなる。でもあの唇にキスされただけで体中の力が抜けてティキの好きなようにされちゃう。優しくキスされたり、甘噛みされたり、激しくされたり。唇一つでティキのペース。悔しい。
手とか詐欺。頬を撫でられたら仔猫みたいに喉を鳴らしそうになるし、あのエロい手つきになった途端に私は終わりだから。

「何そんなに俺のこと見つめちゃってるの?そんなに俺って美しい?」

隣で寝転がっているティキが私に悪戯っぽく言ってくる。ええ、美しいですよ。私よりも何百倍も色気がありますよ。でも悔しいから言ってやらない。

「一言で言うと・・歩く18禁?」
「えっ!?ひど!!」

ひどいよーって甘えてくるけど相手してやんない。あっちのペースに乗せられたら終わりだし、朝から汗かきたくないし(夜でも嫌だけど!)ティキの体力についていけない。

ー」
「何?」
「俺のこと愛してないの!?」
「愛してると行為はノットイコールよ」
「イコールだよ!愛しているからセ・・・」
「死ね!」

最後まで言われる前に枕をティキの顔に思いっきり投げつける。ティキの綺麗な顔にクリーンヒットしてぶって間抜けな声が聞こえてきた。ティキのことは好きだけど、ティキに愛してるだなんて一言も言ったことないし言われたこともない。催促はするくせに決して自分は言わない。

「ドメスティックバイオレンスだ!!」
「私はあんたと家庭をもったつもりはない」

もったつもりはないんじゃなくて本当はもてないのよ。私はティキを愛しているけどティキは私を愛していないから。
ティキにとって私はたくさんの女の中の1人だもんね。

最近冷たいー」
「最近じゃなくていつもよ。今日はなんでそんなにテンション高めなの?」
「んー、久しぶりにと愛し合えたから?」
「死んでしまえ」

ひどい!ってシーツをハンカチかわりにきーってかんでいるけど、それすらもうその態度なのかしら?
ねぇ、何処までが本当?

「ティーキ」
「ん?」
「私のこと愛してるならキスして?」









困った顔で哂わないで


(本当はあなたを愛しているから)









2006.12.28