哀顔
「ねぇアレン」
「何ですか?」
「好きよ」
好きよ
好き
私の言葉はまるでガラスからこぼれた水のようにとどめなく溢れてくる。
団服の裾をぎゅっと掴んで彼の目を見る。
彼の目もまっすぐ私を見ていた。
「ねぇ好き」
好き
好き
好き
涙がこぼれる度、私の口からはまた好きという言葉が溢れてきた。
そんな私を見てアレンは何も言わずそっと涙をぬぐってくれた。
真っ白になるくらい握り締めた両手をやんわりとはずし、そっと離す。
「・・・」
「好き 好き 好き 大好き」
「ごめんなさい」
泣きそうな顔。
私の大好きなアレン君は、もっと優しく笑うはずでしょう?
そんな顔をさせたのは私。
あの優しい笑顔を引き出すのは彼女。
いつもの優しい笑顔が彼女のものなら、泣きそうな顔は私のものよ。
2007.03.22